やさしさの源

ゾウは強いのに、やさしく見えます。
あの大きな身体を持ちながら、ゆっくりと歩き、群れを守り、争いを避ける。
その姿には、力とやさしさが同じ場所に根づいていることを感じます。

深い海を泳ぐクジラも同じです。
誰よりも強い力を持ちながら、海の静けさとともに生き、
ただ深く、ゆっくりと世界を巡っていく。

何百年もそこに根を張る大木もそう。強さとやさしさを同居させています。

私たちは、強さとやさしさを“別のもの”だと思いがちです。
強くあろうとすると、どこか硬くなったり、
やさしくあろうとすると、自分を削ってしまったり。どちらかしか選べないと感じてしまう。

けれど本当は、
やさしさは、強さと同じ場所にあるのだと思います。
どちらかを選ぶ必要はなく、
自分の内側が整ったとき、それらは自然に寄り添い始めます。

そして、
望むのなら、あなたもきっとそうであれると思います。
これは励ましというよりも、
あなたの中にすでにあるものを、思い出してほしいという願いです。

カウンセリングのなかで、
「強くならなきゃ」「がんばらなきゃ」という緊張を抱えた方が、やさしさを忘れてしまったように感じて来談されることがあります。

でも話していくうちに、
その人の中の“静かで揺るがないもの”が、
ほんの少し顔を出す瞬間があります。

それは、ゾウが持つ落ち着いた力のようなものかもしれません。
クジラが深海で抱いている静かな強さのようなものかもしれません。

強さとやさしさは、あなたの外側にあるものではなく、
もともとあなたの内側に共に存在している。

カウンセリングがすることは、
その場所を一緒に探し、
あなた自身がそこに触れられるよう、
そっと灯りを置くことだけです。

あなたが望むなら、
その強さとやさしさの源に戻る道は、いつだって開かれています。

投稿者プロフィール

水田 透
水田 透くれたけ心理相談室(高知支部)心理カウンセラー
相談者様の心にそっと寄り添い、少しでも軽くなるお手伝いができればと思っています。
心理カウンセラー 水田 透

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