精神と身体
私はサイクルロードレースを観るのが好きだ。実際に自転車にも乗るが、やはりヨーロッパで盛んなこの競技には、特別な面白さがある。
日本では漫画『弱虫ペダル』などで知られているかもしれないが、本場のレースには独特の熱と哲学がある。
この競技は、個人戦ではなくチーム戦だ。ひとりのエースを勝たせるために、チーム全員が全力で動く。
補給食を運び、風よけになり、時に他チームを牽制する。そんなサポート役たちも、実は皆とても優秀な選手たちだ。
だが、自分が勝つのではなく、仲間を勝たせることに全力を尽くす。それが、この世界の美しさである。
リーダーは、そんな仲間に深い敬意を払っている。そして監督は、選手たちに強い心の持ち方を教える。
実際、多くのチームにはスポーツサイコロジストやメンタルコーチがついていて、選手の心のケアを行っている。
Netflixにも、この競技を追ったドキュメンタリーがある。
もし興味があるなら、ぜひ観てほしい。仲間が助け合うとはどういうことか。戦いの中で精神を保つとはどういうことか。
それを、選手たちが身体で教えてくれる。
この競技は、ただ肉体的に過酷なだけではない。孤独、恐怖、自己否定との戦いでもある。だからこそ、心理的な支えが必要なのだ。
実は、かつて私がしていた仕事にも、似たところがあった。8人で構成されるチームの仕事であり、とても過酷なものであった。しかしだからこそ仲間とは気持ちを分かち合い、つらさも楽しさも語り合えた。助け合い、時には本音でぶつかり合いながら、互いを尊敬し合っていた。
私はそのコミュニケーションの中に、人間らしさと強さを感じていた。そして今でも、よくその日々を思い出す。
話をサイクルロードレースに戻そう。
ツール・ド・フランスでいえば、21日間で約3500キロを走る。
選手たちは、毎日を全力で生き抜き、疲労や落車で一人また一人と脱落していく。
私はその姿に、『生きる』ということの本気さを見るのだ。
世の中には、やるべきことができず、我慢ばかりを強いられ、つらさを抱えて生きている人がたくさんいる。
そんな人が、この競技の世界に触れたなら、何か心が動くかもしれない。
私たちの時間は、決して長くはない。
あっという間に過ぎ去っていく。
あっという間に歳を取る。
だからこそ、大切なのは「後悔しないこと」だと思う。
自分で考えて、自分で選んだ行動をする。そうすれば、たとえ失敗があっても、あなたの後悔は少ない。
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