誰かに話すことは、 ただ言葉にするだけではないのかもしれません。 心の奥にしまっていたものを、 少しだけ外の空気に触れさせるような時間。 話したあとに、 ほっとすることもあれば、 なぜか落ち着かなかったり、 少し距離を置 […]
強く響かせたものほど、 遠くまで届くように思われています。 けれど、届くことと、 残ることは、 少し違います。 返事のなかったものは、 消えてしまうのではありません。 それは、 行き場をなくしたまま、 いちばん近くにある […]
自分に嘘をつくことは、 案外むずかしくありません。 「これくらい平気」 「本当は気にしていない」 「まだ頑張れる」 そう言い聞かせながら、 毎日を過ごしてしまうことがあります。 誰かをだますためではなく、 今日を乗り切る […]
言わなかったことは、 消えてしまうのでしょうか。 そんなふうには思えません。 むしろ、形にならなかったものほど 長くそこにいます。 ふとした沈黙や、 窓から入る風に混じって、 何度でも姿を変えながら。 言葉は、何かを残す […]
安心というのは、 何も失わないことではなく、 失っても、 ひとりではないと知っていることなのかもしれません。 人はそのぬくもりに触れたとき、 ようやく肩の力を抜いて、 自分のままで息ができるよ […]
振り返ると、 あの日遠回りだと思っていた道が、 今いる場所へ続いていました。 意味は、 出来事の中に最初からあるのではなく、 生きた時間が、 あとからそっと置いていくものなのかもしれません。
山は急いで高くならず、 川は迷いながら海へ向かいます。 誰にも褒められなくても、 季節は自分の順番を忘れません。 その静けさの中にいると、 急ぎ続けていた心だけが、 少し照れくさく思えてきます […]
少しずつ、 誰かの期待に合わせているうちに、 鏡の中の自分が、 どこか他人のように見えることがあります。 生きやすくなるために選んだ形が、 生き苦しさになってしまうこともあるのです。
大きな声を出したかったわけではないのでしょう。 本当は、 「悲しかった」と言いたかっただけなのだと思います。 届かなかった気持ちは、 ときどき強い言葉を借りて、 ようやく外へ出てきます。
何も起きていないのに、 胸だけが先に疲れてしまう日があります。 まだ来てもいない明日を何度も歩いて、 帰るころには、 今日を生きる力まで使い果たしてしまうのです。 そんな日は、 答えを探すより […]