正解を探しているうちは、 安心できるかもしれない。 けれど人生には、 正解が見つからないまま 選ばなければならないことがある。 哲学は答えをくれるものではなく、 答えのない場所で 立ち続ける力を育てるものなのかもしれない […]
「考えすぎでしょうか」 そう尋ねられることがある。 たしかに、 考えても答えの出ないことは多い。 それでも、 なぜ生きるのか。 なぜ苦しいのか。 どう在りたいのか。 そうした問いを持つことは、 遠回りではなく、 自分の足 […]
「ほかに道はない」 そう思い込んでいるときほど、 視界は狭くなっている。 本当は選べることがあっても、 選べないように感じてしまう。 人を縛るものは、 鎖そのものではなく、 鎖しかないと思い込む心なのかもしれない。
若いころは、 お金がいちばん大事だと思っていた。 評価や実績だと思っていた人もいるだろう。 けれど歳を重ねるにつれて、 何を持っているかより、 誰と時間を過ごしたかのほうが 心に残るようになる。 時間は使うものではなく、 […]
苦しいと感じているのに、 そこから離れることが いちばん怖いことがある。 扉の向こうに何があるかわからないからだ。 慣れ親しんだ痛みは、 自由より安心に見えることがある。 けれど、 息苦しさに慣れることと、 安心している […]
歩いていると、 考えても仕方のないことが 少しずつ身体の外へ出ていく。 答えは見つからなくても、 風の向きや空の色を見ているうちに、 問いとの付き合い方が変わることがある。
洗濯物を干していると、 暮らしとは、 こういうことなのだと思う。 大きな答えはなくても、 乾いていく布のように、 少しずつ整っていくものがある。
植物を眺めていると、 急がなくてもいいのだと思う。 花を咲かせる日もあれば、 根を伸ばす日もある。 目には見えなくても、 育っている時間がある。
夜道を歩くのが好きだ。 昼間は見えなかったことが、 暗くなると見えてくる。 考えすぎていたことも、 歩いているうちに 身体の後ろへ置いてこられる。
古本屋が好きだ。 誰かの人生を通り過ぎてきた本が 静かに並んでいる。 読み終えた人と、 これから読む人。 そのあいだを本が 黙ってつないでいる。