フォーカシング ― 体が先に知っていること

「どうしてこんなに気持ちが重いんだろう」
頭で考え続けても、答えが出ないことがある。
そういうとき、心理哲学者のユージン・ジェンドリンが提案した「フォーカシング」という方法が、静かに助けてくれることがある。

やり方はシンプルだ。
静かに座る。今、なんとなく気になっていることをぼんやり思い浮かべる。そのとき、体のどこかに感じる「何か」を探す。

胸のあたりが少し重い。胃のあたりがつまっている気がする。言葉にしにくい、でも確かにある感覚。
フォーカシングではそれを「フェルトセンス」と呼ぶ。

その感覚に、ぴったりくる言葉を探してみる。「重たい塊」でも、「黒い雲みたいな感じ」でも、「どこかがつっかえている」でも。
正しい言葉じゃなくていい。ぴったりくる言葉を。
すると不思議なことが起きる。

言葉が感覚に触れた瞬間、何かがふっとほどける感覚がある。頭で無理に考えなくても、体のほうが先に答えを知っていた、ということがある。

私はこれを知ったとき、「心理療法というより哲学に近い」と思った。

「何を感じているか」ではなく、「体がどう感じているか」に耳を傾けること。
頭を使うことに疲れたとき、少し立ち止まって、体の声を聞いてみる。
そういう時間を、自分自身にも持ちたいと思っている。

投稿者プロフィール

水田 透
水田 透くれたけ心理相談室(高知支部)心理カウンセラー
相談者様の心にそっと寄り添い、少しでも軽くなるお手伝いができればと思っています。
心理カウンセラー 水田 透

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